アゼライン酸は酒さに効果あり?特徴や原因を解説
お酒を飲んだあとの赤ら顔のような症状が出ることから名付けられた「酒さ」。
中高年層がなりやすく、原因がはっきりわかっていないことから治療薬が少なく慢性化しやすいと言われています。
そんな中、近年、日本でも注目されているのが「アゼライン酸」です。
海外では一般的なニキビ治療薬で、日本ではまだ医療用成分として認可されていないですが、さまざまな効果があり安全性も高く、酒さの治療薬としても効果が期待できます。
今回は、アゼライン酸とはどのような成分であるのか解説するとともに、酒さの特徴やアゼライン酸の使用がオススメな人など、詳しく解説していきます。
目次
アゼライン酸とは
アゼライン酸は元々、メラニンを抑制する効果があることから美白を目的とした塗り薬として開発されていましたが、臨床試験中にニキビへの効果が認められ、古くからニキビ治療薬としてアメリカやヨーロッパをはじめとする世界約80カ国の皮膚科などで使用されています。
アゼライン酸は小麦やライ麦など穀物や酵母に含まれる成分なので、使用したときに肌や体への刺激が少なく安全性が高いのが特徴の1つであり、妊婦や妊娠している可能性がある方、授乳中の方でもニキビなどの治療薬として使用することが可能です。
近年、日本でも知られるようになってきたアゼライン酸ですが、現在はスキンケア成分の1つとされており、まだ医薬品の成分としては認可されていません。
アゼライン酸には、下記のような効果が挙げられます。
- 毛穴詰まりの解消
- ニキビ菌への抗菌作用
- 抗酸化作用
- 皮脂の分泌抑制
- 美白効果
アゼライン酸は、古い角質によって毛穴が蓋されるのを防ぎ、皮脂の分泌を抑制するだけではなく、ニキビ菌への抗菌作用も期待できるので、ニキビの悪化を防止し予防することができます。
また、美白効果も含まれているので、ニキビ跡による色素沈着にも効果を発揮します。
アゼライン酸にはこれらの効果が期待できるので、ニキビ治療だけではなく酒さや脂漏性皮膚炎の治療にも用いられています。
酒さの特徴
酒さ(しゅさ)とは、主に、鼻や頬、眉間など赤みやほてりなどが数ヶ月間持続して生じる、中高年層が発症しやすい慢性皮膚疾患の1つです。
酒さの初期症状として、発赤やかゆみ、ほてりなどが挙げられ、症状の状態によって治療方法は異なりますが、主に、内服薬や外用薬を使って治療が行われます。
酒さを自然治癒で改善させるのは難しく、基本的に治療を行わないと症状が悪化していく傾向にあり、症状の状態によって下記の4段階に分けることができます。
第1段階:紅斑毛細血管拡張型
第1段階である「紅斑毛細血管拡張型」は、鼻や眉間などの発赤がどんどんと広がり、毛細血管の拡張や脂漏を伴う症状が現れます。
症状が出ている部分にかゆみやほてりが生じたり、皮膚が刺激に対して敏感になったりと自覚症状が出始めます。
紅斑毛細血管拡張型の場合は、内服薬での治療がメインで行われることが多いですが、フォトフェイシャルで光を照射し徐々に肌を健康的にする治療方法もあります。
第2段階:丘疹膿疱型
第2段階の「丘疹膿疱型」では、第1段階の症状に加えて、ニキビのようなポツポツとした丘疹や膿疱が生じ、第1段階よりも脂漏が強まります。
丘疹膿疱型でできるポツポツはニキビと似ていますが、芯や毛穴詰まりが見られないのがニキビと見分けるポイントです。
丘疹膿疱型の場合は、内服薬に加えて外用薬も一緒に使いながら治療することが多くなります。
第3段階:腫瘤鼻瘤型
第3段階の「腫瘤鼻瘤型」は、丘疹同士が繋がって鼻の頭がボコボコとした状態になり、毛穴の開きが目立ってしまうので、まるでみかんの皮のような見た目になることもあり、皮膚の色も赤紫に変化します。
しかし、日本人では第3段階まで悪化することは少ないと言われており、他の段階の酒さを治療している方が多い傾向です。
腫瘤鼻瘤型の場合、外科的な治療が必要になるので皮膚科では治療できない可能性があり、この段階の酒さが疑われるときには病院選びも重要になります。
眼型
眼型は、その名の通り、目に症状が出る酒さで、目の周囲の腫れといった皮膚の症状だけではなく、目の充血や涙目、ドライアイ、角膜炎や結膜炎を生じることもあります。
酒さの原因
酒さのはっきりとした原因は未だにわかっていませんが、生活している環境や食事、顔に触れる外用品などが酒さを悪化させる要因となると言われています。
例えば、下記のようなことが酒さを悪化させる要因として考えられています。
- 紫外線
- 気温差や湿気
- 入浴
- 飲酒
- 香辛料やカフェインの摂取
- スキンケア用品
- ストレスや睡眠不足
- 毛包虫(ニキビダニ)感染
例に挙げた通り、酒さを悪化させる原因は普段の生活と密接に関係しており、酒さを改善させるためには内服薬や外用薬の治療に加えて、生活習慣を正すことも非常に重要です。
特に、女性の場合、酒さの影響で赤くなっている部分をメイクでカバーしたい方も少なくないと思いますが、スキンケア用品やメイク用品は直接肌に刺激を与える可能性が高くなります。
そのため、酒さと診断された方は、低刺激のものや天然成分のものなど、なるべく肌に負担をかけないスキンケア用品やメイク用品をえらぶことがとても重要です。
アゼライン酸は酒さに効果がある?
アゼライン酸は、ニキビ治療薬として使われているのが一般的ではありますが、酒さの治療薬としても効果を発揮します。
前項でも解説したとおり、酒さになる原因は未だ解明されていないので、ニキビ治療薬のように効果的な薬が少なく症状が改善しづらいことから、慢性化してしまうリスクが高くなります。
アゼライン酸は、長期に使用しても副作用が出にくいので、治療期間が長くなりやすい酒さにも使用しやすい治療薬といえます。
特に、酒さの中でも、ニキビのようなポツポツが生じる第2段階の丘疹膿疱型の治療に効果が期待でき、抗菌作用や抗酸化作用などが酒さの改善に関係しているのではないかと言われています。
アゼライン酸はこんな人におすすめ
アゼライン酸にはさまざまな効果があるだけではなく、肌や体への負担を抑えられるのでデリケートな状況の方や肌が敏感な方にも使いやすい治療薬です。
ここからは、アゼライン酸の使用がオススメな人の特徴を解説しましょう。
妊娠中や授乳中の方
アゼライン酸は、普段から口にしている小麦などの穀物に含まれる成分なので、刺激が少なく安全性が高く、薬の種類によっては使用をやめなければならない妊娠中や授乳中にも使うことができます。
特に妊娠中は、ストレスやホルモンバランスの影響でニキビなどが生じやすくなるので、治療方法の1つとしてアゼライン酸を知っておくと安心です。
ディフェリンゲルやBPO製剤が使えない方
ニキビ治療薬として使われることが多いディフェリンゲルやBPO製剤は、副作用として皮剥けやヒリヒリ感、痛みやかゆみなどが挙げられます。
これらの副作用は、症状がどのくらい強く出るかに個人差がありますが、基本的に使用している大半の方に出現すると言われています。
通常であれば、耐えることができる程度の痛みやかゆみなどが1〜2週間程度で収まりますが、人によっては刺激が強く症状が収まらない場合があります。
アゼライン酸にも副作用はありますが、ディフェリンゲルやBPO製剤よりもマイルドな治療薬なので、この2種類や他の治療薬で刺激が強すぎた方にもおすすめできます。
ニキビ跡による色素沈着が気になる方
アゼライン酸は、当初、メラニン抑制効果があるため美白剤として開発が進められていた成分なので、美白効果が期待できます。
ニキビの状態によっては、ニキビが改善した後も色素沈着を起こしてしまいニキビ跡として残ってしまうことがありますよね。
アゼライン酸には美白効果も期待できるので、ニキビ跡の色素沈着が気になる部分への治療にも使用できます。
まとめ
今回は、アゼライン酸や酒さについて詳しく解説しましたが、いかがでしたか?
アゼライン酸は日本ではまだ医療用成分として認可されていませんが、ニキビをはじめ原因がはっきりしていないからこそ治療をするのが難しい酒さの改善にも効果が期待できます。
また、刺激が少ない分負担がかかりにくいので、薬を使用するのが難しい妊娠中や授乳中の方でも使えるのも魅力的なポイントです。
そして、酒さは慢性化しやすいので、早めに医師の診察を受けご自身の酒さの段階に合った治療を早めに始める必要があります。
酒さの治療にはアゼライン酸などと治療薬を使うことも必要ですが、生活習慣を正すことも重要なので、ご自身の生活を改めて見直してみましょう。