ボトックスとコアトックスの違いは?選び方のポイントも解説
ボツリヌストキシン注射に興味はあるけど、ボトックスとコアトックスは何が違うのかと、疑問をお持ちの方は少なくありません。
どちらもシワ改善や小顔治療などに使われる製剤ですが、特性にはさまざまな違いがあるため、適切に理解して選ぶことが重要です。
この記事では、ボトックスとコアトックスの基本から異なる点、選び方のポイントを詳しく解説します。
違いを知りたい方、どう選べばいいのか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ボトックスとコアトックスとは?

ボトックスとコアトックスは、どちらも「A型ボツリヌストキシン」を有効成分とする注射製剤です。
筋肉の働きを一時的に弱める作用を利用して、表情ジワの軽減や小顔効果を得る目的で使われます。
ボトックスの基本
ボトックスは、アメリカのアラガン社が開発した、世界的に使用実績のあるボツリヌストキシン製剤です。
日本では「ボトックスビスタ」として、厚生労働省の承認を受けています。【承認番号:22100AMX00398000】
専用の講習やトレーニングを受講して資格を得た医師のみが扱える製剤のため、医療機関への信頼や実績とともに、選択の判断材料になるでしょう。
ボトックスは眉間や額、エラ張りの緩和、多汗症治療など幅広く対応していて、一般的に効果の発現は約2〜3日、約7〜14日で安定するとされています。
効果の持続期間は個人差が大きく一概には言えませんが、一般的に約3〜6か月とされていて、回を重ねるごとに長くなる傾向があります。
コアトックスの基本
コアトックスは、韓国のMedytox社が開発したA型ボツリヌストキシン製剤で、比較的新しい選択肢です。
ヒト血清アルブミンや動物性由来成分を含まず、無添加であることが大きな特徴です。
アレルギーリスクの低減や感染症予防の面から、コアトックスを選ぶ方も増えています。
ただし、コアトックスは韓国MFDS(韓国食品医薬安全処)で承認されていますが、日本では未承認医薬品にあたるため、医師の責任において使用されることを理解しておきましょう。
共通する作用メカニズム
ボトックスとコアトックスは、有効成分がA型ボツリヌストキシンで、神経と筋肉の接合部に作用し、アセチルコリン(神経伝達物質)の放出をブロックする働きをもっていることが共通しています。
これにより、筋肉の動きが一時的に抑制され、表情ジワの軽減やエラ張りの改善、小顔効果などが期待できます。
ただし、1度で終わりではなく、徐々に効果が減少していくため、継続的な施術が必要です。
効果の出方や持続期間には個人差がありますが、ボトックスとコアトックスの作用メカニズムはほぼ同じです。
ボトックスとコアトックスで期待できる効果
ボトックスとコアトックスは、筋肉の動きを抑えるという共通の作用を通じて、顔や身体のさまざまなお悩みにアプローチできます。
以下のような美容目的・医療目的で用いられています。
| シワ | 額の横ジワ | 表情ぐせでできる額の横ジワをなめらかに整える |
| 眉間の縦ジワ | 怒ったように見える深いシワを和らげる | |
| 目尻のシワ | 笑いジワを軽減して若々しい印象に | |
| 顎の梅干しジワ | 顎の筋肉(オトガイ筋)を緩めて表面をなめらかにする | |
| バニーライン | 鼻根部の横ジワを防止する | |
| 輪郭・表情 | エラ張り | エラの筋肉を縮小し、フェイスラインをすっきりさせる |
| 口角下制筋 | 口角が下がるくせを改善して自然な印象にする | |
| ガミースマイル | 笑ったときに歯肉が見えるのを防ぐ | |
| 首のたるみ | 首の横ジワやたるみを引き締めてフェイスラインも整える | |
| 発汗抑制 | 脇の多汗症 | 脇汗や臭いを軽減し、日常生活のストレスを緩和する |
| 手のひら・足の裏の多汗 | 手汗や足汗による臭いのお悩みを軽減する | |
| 頭皮や顔の汗対策 | 化粧崩れや前髪のうねり対策になる | |
| 筋肉の緊張軽減 | ふくらはぎの張り | ふくらはぎの筋肉をほぐして張りを軽減する |
| 肩こり・肩の位置 | 僧帽筋を緩めることで、肩こりの緩和や肩の位置が下がる |
ボトックスとコアトックスには、これらの効果が期待できます。
ただし、同じ回数の施術を受けたとしても、効果の実感の仕方には個人差があるため、医師とよく相談しながら間隔や量の調整を行っていきましょう。
部位別のボトックス注射については、以下の記事でも解説しています。
→口角ボトックスで口元のたるみ改善!効果や施術時の注意点を解説
→エラボトックスの効果が出るのはいつから?注射後の経過と持続期間について解説
ボトックスとコアトックスの違いは?

ボトックスとコアトックスは、どちらも同じ成分を含むボツリヌストキシン製剤ですが、以下のような項目で異なります。
ここでは、両製剤の異なる点について、解説します。
製造元と承認状況の違い
ボトックスは、世界中で使用実績があるアメリカのアラガン社が製造し、日本では厚生労働省の承認を受けている唯一の正規品です。
一方、コアトックスは韓国製で、韓国では承認されていますが、日本国内では未承認の医薬品となります。
そのため、使用する医療機関が独自に輸入から保管、管理をすることになり、施術者側の管理能力と技術力がより求められる傾向があります。
効果発現までの時間や持続性の違い
ボトックスは施術から約2〜3日で効果が現れ始め、約7〜14日で安定するとされていて、持続期間には個人差がありますが、約3〜6か月と比較的安定しています。
対してコアトックスは効果が現れるまで数日〜1週間以上かかるケースもあり、特に個人差が大きいとされています。
マイルドな効き方で自然な仕上がりを得やすい反面、即効性や持続性を重視する方は物足りなさを感じる場合もあるかもしれません。
価格・コストパフォーマンスの違い
クリニックにより差がありますが、コアトックスはボトックスよりも約20〜40%安価に設定されている傾向があります。
複数部位への注射や継続治療を想定している方には、コスト面ではコアトックスにメリットがあるでしょう。
一方で、ボトックスは日本国内における正規品であることからやや高額になる傾向がありますが、安定した効果や副作用リスクの管理体制を含めた信頼性が高いと言えます。
安全性に関する視点
ボトックスは、日本国内で厳しい審査基準をクリアし、適正使用に関する医師向けのトレーニング制度も整備されています。
副作用報告や製剤の取り扱いに関するガイドラインも公的に発信されていて、信頼性が高い製剤です。
コアトックスは、無添加処方によりアレルギー反応を起こすリスクを抑えられる可能性があるとされてます。
しかし、比較的新しい製剤のため、副作用データや長期使用に関する統一されたガイドラインがまだ整っていないことは理解しておきましょう。
ボトックスの副作用については、以下の記事でも解説しています。
→ボトックスを打ったら飲酒してはいけない?ボトックスの副作用を詳しく解説
製剤選びのポイント

ボトックスとコアトックスは、どちらが優れているということではなく、自分に合っているかどうかが重要です。
どのような目的で施術を受けるかを考慮し、以下のようなポイントを抑えておきましょう。
価格だけで判断しない
価格は製剤選びにおいて大切な要素ですが、安いとの理由だけで選ぶと後悔する可能性もあります。
例えば、コアトックスはコストパフォーマンスに優れていますが、効果の出方が穏やかだったり、効き始めに個人差があったりするため、効果が薄いと感じる方もいるでしょう。
逆に、ボトックスは比較的高額になりますが、実績や効果の安定性を重視するなら、向いています。
このように、何を重視しているかにより、ボトックスとコアトックスの選び方は異なります。
長期的な満足度を得るためには、価格と信頼性のバランスも大切です。
カウンセリングで確認する項目
施術前のカウンセリングでは、どの製剤を使用するのか、効果やリスクの有無を必ず確認しましょう。
また、コアトックスは日本未承認薬であるため、その説明がきちんとされなければなりません。
自分の悩みに対してその製剤が適しているのか、部位や筋肉の構造、表情のくせなどを考慮し、あらゆる面から総合的に判断できる医師かは、カウンセリングでわかります。
信頼できる医師とよく相談し、納得したうえで施術を受けるためにも、丁寧なカウンセリングが行われるクリニックを選びましょう。
信頼できる医療機関の選び方
正規品のボトックスビスタを取り扱っているか、症例数や医師の実績が公開されているかなどは、医療機関選びの重要な判断材料です。
また、未承認薬であるコアトックスを使用するならば、どのような保存や管理をしているか、説明責任はなされているかも確認すべきポイントです。
カウンセリング時に製剤の説明が曖昧だったり、不安を感じるような対応だったりする場合は、納得できる説明を求める、セカンドオピニオンを活用するなども考えておきましょう。
まとめ
ボトックスとコアトックスは、同じ有効成分を持ちながらも、以下のような点で違いがあります。
- 製造元
- 承認状況
- 効果の発現
- 価格
- 安全性
どちらが優れているかではなく、自分の目的に合っているか、リスクとコストのバランスをどう考えるかが、選び方のポイントです。
効果の発現スピードや実績、医療体制が整っていることを重視するならボトックスが向いています。
自然な仕上がりやアレルギーのリスク軽減、価格ならばコアトックスがよいでしょう。
大切なのはそれぞれの特徴を理解したうえで、納得して製剤を選ぶことです。
信頼できる美容皮膚科クリニックで、医師とよく相談して、自分に合っているのはボトックスかコアトックスかを見極めましょう。