カナグルが痩せるのは何故?副作用や費用、注意点も合わせて詳しく紹介
ダイエットと聞くと、カロリーを気にして食べたいものを我慢して、慣れない筋トレを頑張るなど、時間をかけて大変な思いをして達成するというイメージを持つ方が多いと思います。
しかし近年、「医療ダイエット(メディカルダイエット)」という、楽に痩せられる方法が話題になっていることをご存じですか?
この記事では、医療ダイエットの中でも内服薬として効果が高いといわれている「カナグル」についてご紹介します。
ストレスを最小限にして痩せたいと考えている方はぜひご参考ください。
目次
人はなぜ太るのか
美意識の高い女性が、美しさを構成する条件の中で比較的重要と考えているのは恐らく「体型」ではないでしょうか?
しかし、美しさの他にもっと大切な「健康」の為に、そのプロポーションは維持しなければなりません。
肥満は、死因として一番恐ろしいと言われているがんを含む「生活習慣病」との関係が強く指摘されされていて、現代では「メタボリックシンドローム」という、病名に準じた呼び方までされているほどで、もはやただの体型のカテゴリーではないのです。
では、人はどうして太るのでしょうか?
日本人の食生活は欧米化が進んでからもう大分経ち、動物性たんぱく質や糖分の摂取がしっかりと習慣化しています。
子供の頃からの外遊びは既に激減し、交通手段の発達や、家から出なくても楽しめるゲームなどの趣味も多様化するなど、人生を通して運動不足が顕著です。
そんな生活習慣の中、人が活動するために必要とするエネルギー源となる糖質は、甘いものや添加物、ジャンクフードなどにも多く含まれ、どうしても摂り過ぎてしまう傾向にあります。
そして、余ってしまった摂取エネルギーは中性脂肪に変化して貯蔵されます。
「貯蔵される」というと聞こえはいいですが、要は蓄積してしまうのです。
必要な消費エネルギーは減り、それでも豊富な摂取エネルギーを得られる、そんな生活習慣の中では、うっかり太ってしまうのも無理はありません。
カナグルとは
最近注目されている、肥満に対して「薬」として使用されているカナグルとはどんな薬なのか、痩せるメカニズムや効き目、コストなどについて詳しくご紹介します。
カナグルの痩せるメカニズム
カナグル(カナグリフロジン)とは、元々は糖尿病の治療で使われる阻害薬で、日本で使用され始めたのが2014年という、比較的新しい薬です。
血液中の糖(ブドウ糖)は、腎臓でろ過され尿の元である原尿へ出た後、SGLT2というタンパク質に取り込まれて再び血液中に戻ります。
カナグルは、尿中の糖の再吸収を防いで尿と共に排出し、中性脂肪の蓄積を防ぐ、SGLT2の中でも効果が高いといわれている糖尿病の治療薬です。
糖尿病の人が服用することで血糖値を下げられる薬ですが、こうした糖の吸収を抑えるメカニズムが、脂肪を貯めない体質に変えるダイエット薬として、効果を発揮しています。
カナグルはどれくらい痩せるのか
糖尿病の治療薬として本格的な医療に使われるカナグルは、SGLT2阻害薬の中でも体重減少の効果が高い薬と言われています。
カナグルを服用すると、1日に240~400kcalの糖が尿と共に排出されてむくみが取れ、30日間服用すると7,200~12,000kcalが体外に出ていくことになります。
9,000kcalは内臓脂肪に換算すると約1.5kg、つまり単純計算してもひと月で1.5kgの減量が可能ということになります。
しかも人の体は糖質を優先して栄養にする傾向があり、その糖が足りないとなると、脂肪を強制的にエネルギーにするので、投与中は痩せやすい体になります。
また、カナグルについては体重減少率について、体重100kgの人が約12週間のカナグルの投与により1.6%の体重減少率、つまりおよそ1.7kgの体重の減少が平均して見られたという海外の研究データの報告があります。
出典元:「カナグリフロジン:糖尿病のない過体重および肥満の被験者への効果」
中には100mg投与して平均2.9%の体重減少率(約2.8kg)を出した例もあり、その効果の高さが伺えます。
ある程度減量するとなれば、数ヶ月かかるというところは他のダイエットと変わらないところではありますが、同じ数ヶ月間でも、忙しい中時間を作って運動したり、食べるもののカロリーを厳密に気にしたりする必要がないのであれば、ストレスはほとんどないといえるでしょう。
カナグルで痩せるまでの費用
カナグルは糖尿病の治療薬ではありますが、痩身目的で投与する場合は自費診療となります。
カナグルの服用方法としては、1日1錠(100㎎)が通常であり、処方するクリニックによって金額設定が違います。
30日間の服用分、それに初診料、結果が出始めるまで約12週程度として計算すると、約3万円弱がかかります。
クリニックによっては血液検査を実施するところもありますし、人によっては他の薬を併用した方がいい場合もあります。
そして、ダイエットをしたいと思っている方の多くは、1kgや2kgを落とす程度の体重を希望しているわけではないと思います。
減らしたい体重がどのくらいかは人それぞれなので、痩せ始めてから目標体重に辿り着くまでかかる数ヶ月は別として、スタートの予算としては4万円程度と見ておくべきでしょう。
支払い方法としてはクレジットカードや医療ローンなど、料金計算については継続による割引など、きちんと結果が出るまで続けられるように、治療を受ける前に十分検討しておきましょう。
カナグルの注意点
体重の減少効果が科学的に証明されているカナグルですが、効き目がある分注意しなければいけない点もあります。
カナグルの副作用
実は、カナグルには発現する副作用がいくつかあります。
- 喉(口)の渇き・脱水症状
- 倦怠感
- 吐き気や食欲減退
- 便秘・下痢・腹痛
- 頻尿
- 低血糖症状
- 発熱
- 腎炎や敗血症症状
糖が尿と一緒に排出されるので多尿になり、糖が尿路やその近辺に付着し雑菌が繁殖しやすくなります。
口渇については水分を十分に摂らないと脱水症状を引き起こす可能性があり、尿路についてはウォシュレットを使うなどして常に清潔を保つよう心掛けることが必要です。
特に尿管や性器に糖が付いたまま放置すると、感染症を引き起こしたり膀胱炎になったりする危険性があります。
冷や汗や手の震え・動悸やめまいなどが起こったら低血糖の症状であり、腎盂腎炎、ケトアシドーシスなどを稀に発症することもあるといわれているので、気になる症状が出たらすぐに担当医に連絡できるように、普段から連絡先などを準備しておくと安心です。
カナグルを服用してはいけない方
以下の方はダイエット目的でカナグルを飲んではいけないとされています。
- カナグルに過敏症の既往歴がある
- アレルギーがある
- 中等度以上の心臓・肝臓・腎臓・膵臓または高血圧の疾患がある
- 糖尿病の既往歴がある、または糖尿病の治療中
- 手術予定がある
- 尿路や性器の感染がある
- 大きな外傷がある
- 妊婦または妊娠の可能性がある
- 高齢・小児・授乳中
糖の吸収を抑えるというメカニズムを利用して行うダイエットであり、低血糖になりやすくなっていることを前提とすると、上記のようなリスクを抱えている方の場合はカナグルを使用できないと考えておきましょう。
カナグルは、単独の使用で低血糖を起こす危険性が低いのが特徴とされていますが、ダイエット目的で服用する方はある程度健康な体であることが条件といえます。
他にも、糖質ダイエットとカナグルの服用を並行して行うことは、低血糖を引き起こしやすく危険です。
炭水化物と甘いもの(糖質)を1日70〜130g程度に抑える「糖質ダイエット」は、文字通り食事の中の糖質を控えるというダイエットです。
カナグルで糖の吸収を抑えている上に、糖質制限までするということは、低血糖を促す要因となる可能性があるので注意しましょう。
カナグルの他に効果的なダイエットはある?
メディカルダイエットは、カナグルの他にもいくつかあります。
- サクセンダ(GLP-1受容体作動薬)…視床下部への作用・食欲抑制。インスリン分泌を促して血糖値を下げる
- リベルサス(GLP-1受容体作動薬)…少ない食事で満腹感・食欲の抑制・糖の吸収を穏やかにする
- ゼニカル(肥満治療薬)…食事中の油を30%排出
- インボカナ(カナグル・ジェネリック)
肥満治療薬に関しては、BMI35以上の方のみを対象に保険適用となる場合があります。
インボカナはカナグルのジェネリックで、口コミやレビューによる「痩せた」との声が多く見られ、安価で提供されている所為か手を出しやすいのかもしれませんが、ジェネリックを使用するときは、薬効成分に問題がないとしても、糖衣などの添加物に関してアレルギーが起こらないとも限らないので、注意が必要です。
他にも、カナグルは単独で使用すると低血糖が起こりにくい特徴がありますが、カロリーが少なくなる影響で空腹感が強くなることがあり、その状態になると過食によって体重が増えてしまいます。
そこで食欲を抑える働きのあるサクセンダやリベルサスを併用すると食欲が抑えられるので、相性のいい飲み方となります。
コストもかかることですので、担当医とよく相談しながら、自分にとって一番効果的な納得のいく処方をしてもらいましょう。
まとめ
医療ダイエットで話題の「カナグル」の痩せるメカニズムや副作用、費用や注意点について、一通り詳しく紹介しましたが、いかがでしたか?
科学的に効果が証明されている薬なら、効果がかなり期待できるので、目標体重まで時間がかかったとしても「痩せないかも」などと心配することなく待つことができるのではないでしょうか。
体重は、年齢と共になかなか減らしづらくなっていきます。
美しさはもとより、健康のためにも、通常のダイエットとは違う、ストレスのない新しいダイエット法を、試してみませんか?