高濃度ビタミンC点滴はがん予防に効果なし?施術について詳しく紹介
高濃度ビタミンC点滴は、サプリメントや内服薬では摂取しにくいビタミンCを効率よく摂取できるもので、がん予防にも効果があるとされています。
ビタミンCは不足すると身体にさまざまな影響をもたらすことから、不足しないように食べ物から摂取する必要がありますが、1日に必要なビタミンCを食べ物だけで摂取しようとしても、なかなか大変なのが現状です。
この記事では、ビタミンCが不足するとどうなるか、高濃度ビタミンC点滴はがん予防に効くのか、高濃度ビタミンC点滴とはどのような点滴なのかご紹介していきます。
美容面での効果を感じたい方や、エイジングケアをしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ビタミンCとは
ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれる水溶性のビタミンの1つです。
多くの哺乳動物は、体内でブドウ糖からビタミンCを合成することができますが、人は合成に必要な酵素がないことからビタミンCを体内で合成できず、食事から摂取するしかないのです。
ビタミンCは、コラーゲンを生成するために必要不可欠な役割を担っていることや、抗酸化作用があることで知られています。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、12歳以上の男性、女性共に100mgとされていますが、平均摂取量は100mg以下となっていることが多く、日本人は慢性的にビタミンCが足りていない状態です。
ビタミンCが不足するとどうなる?
ビタミンCが健康を保つうえで必要な栄養素であることはわかりましたが、不足するとどのような不調が生じるのでしょうか?
ここからは、ビタミンCが不足するとどうなるかをご紹介します。
壊血病になる
ビタミンCの量が体内に少なすぎることで起こる壊血病は、初期に以下のような症状がみられます。
- 皮膚の乾燥
- 脱力感
- うつ状態
- 太ももの痣
- 毛穴周囲の出血
ここからさらに症状が進むと、歯ぐきや消化管、粘膜から出血がみられるようになります。体内のビタミンCの量が300mg以下になると発症するといわれています。
通常、体内には1500mgほどのビタミンCを蓄えているため、ビタミンCが含まれない食事を60~90日ほど続けると、体内のビタミンCの量が少なくなり、壊血病になってしまう可能性があります。
1日10mgほどのビタミンCを摂取していれば、壊血病にはならないとされているため、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
慢性的に疲れが生じる
ビタミンCが不足すると、慢性的に疲れが生じる原因となります。ビタミンCは身体機能の低下を防ぐ働きがあるため、不足することで貧血や筋肉の萎縮が起こり、身体機能が低下することで、疲れやすくなってしまいます。
睡眠をとっても疲れがとれない、いつも疲れている気がするといった慢性疲労を感じている方は、ビタミンCが不足している可能性があります。
肌荒れが起こる
前述したように、ビタミンCはコラーゲンの生成に大きくかかわっている成分です。コラーゲンはタンパク質の一種で、皮膚の奥で酵素や栄養素を供給することで、肌のハリを保つ働きを担っています。
コラーゲンは真皮内にある線維芽細胞によってエラスチンやヒアルロン酸とともに作られますが、紫外線や加齢による影響で生産量が減り、肌の乾燥やシミ、シワなどのトラブルを引き起こします。
ビタミンCは線維芽細胞の働きを活性化させる役割を担っているため、ビタミンCが不足することでコラーゲンが生成されづらくなり、肌に大きな影響を与えるのです。
高濃度ビタミンC点滴はがんの予防に効果なし?
2005年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)が、高濃度ビタミンC点滴ががん細胞を攻撃することを論文で発表しました。しかし、この実験は試験管内の実験だったために、人体においても同じように効くのかは解明されておらず、効くとも効かないとも断言できないのが現状です。
アメリカ国立がん研究所(NCI)は、高濃度ビタミンC点滴によってがんの治癒力が向上したり、細胞を縮小させたりすることでの生存期間の延長効果等は実証されていないと発表しています。
高濃度ビタミンC点滴とは
高濃度ビタミンC点滴は、がんへの治療法としては医学的に効果があると実証されていない方法ですが、ビタミンCを直接静脈内に投与することでさまざまな効果が期待できます。
ここからは、高濃度ビタミンC点滴について詳しくご紹介します。
なぜ点滴?
前述したように、ビタミンCは身体にとって重要な栄養素となりますが、人の体内でビタミンCを合成することができません。
そのため、足りないビタミンCをサプリメントで摂取しようという方もいますが、実はサプリメントでビタミンCを摂取しても、吸収される量はわずかですぐに排泄されてしまうのです。
しかし、高濃度ビタミンC点滴であれば、大量に高濃度のビタミンCを点滴によって静脈内に直接投与し、ビタミンCの血中濃度を急激に上昇させることができます。
こんな方にオススメ!
高濃度ビタミンC点滴は、以下のような方にオススメの方法です。
肌のトラブルを抱えている | シミが気になる 紫外線を浴びることが多い 日焼けをしてしまった 透明感が欲しい ニキビや肌荒れがある 肌の弾力が低下している |
症状を改善させたい | 疲れやすい よく風邪をひく 倦怠感を感じる 寝起きが悪い うつ病を患っている |
病気を未然に防ぎたい | 活性酸素を除去したい 老化を遅らせたい 歯周病の予防 タバコやお酒が好き ストレス緩和 インフルエンザを予防したい |
喫煙者や高齢者の方は、血中のビタミンC濃度が低下している可能性が考えられることから、ビタミンCを効率的に摂取できる高濃度ビタミンC点滴がオススメです。
どのくらいの頻度で行う必要があるか
高濃度ビタミンC点滴は、12.5g、25g、50gから点滴の量を選べます。頻度は月に1~2回ほどを定期的に受けるのがオススメですが、肌質改善などの美容目的の場合は、1~2週間に1回の頻度で受けると効果を感じられます。
ビタミンCは過剰に摂取しても余剰分は排出されるため、過剰摂取による副作用などは心配しなくて良いでしょう。
高濃度ビタミンC点滴の効果は、すぐ感じる方もいれば数回治療をして効果を感じたという方もいます。医師と相談のうえ、治療間隔や頻度を決めて、継続的に治療を行うと効果的です。
リスクや副作用について
高濃度ビタミンC点滴による重症な副作用は報告されていませんが、点滴痛が起こる可能性があります。点滴の速度を遅くすることで点滴痛は和らげることができるため、点滴中に痛みを感じたら申告するようにしましょう。
また、G6PD欠損症の方は、高濃度ビタミンC点滴を受けることで、溶血性貧血を起こすリスクがあることから、点滴を受けられません。G6PD欠損症には自覚症状がないことも多いため、初めて点滴をする方は、血液検査を受けてから治療を開始することをオススメします。
高濃度ビタミンC点滴を受けると、簡易血糖測定器で図る血糖値が高血糖となります。これは、ビタミンCの構造がブドウ糖と似ていることから起こる見せかけの数値となるため、簡易血糖測定値器で血糖測定を行い、インスリンの注射を行っている方は、高濃度ビタミンC点滴後の測定に注意する必要があります。
そのほかのリスクや副作用について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
→高濃度ビタミンC点滴は危険?受けてはいけない人や副作用を紹介
まとめ
ビタミンCは人の身体に必要な栄養素ですが、食事やサプリメントから必要量を摂取するのが難しく、ビタミンCが不足することで身体にさまざまな不調が訪れます。
がんの予防や治療方法としても注目されている、高濃度ビタミンC点滴ですが、がん予防や治療としての効果は医学的に証明されていないことが多く、いまだ自由診療となっているのが現状です。
しかし、強い抗酸化作用があることや、副作用がほとんどないことから、その効果を求めて定期的に治療を受けるという方も多くいらっしゃいます。
高濃度ビタミンC点滴の定期的な治療を検討している方は、この記事を参考にクリニックでカウンセリングを受けてみてくださいね。