幹細胞コスメは効果なし?効くメカニズムと選ぶ時のポイント、注意点を解説
幹細胞を利用した美容法やアンチエイジングをご存じですか?
お高いイメージ、耳慣れないなど、詳しく知らないことって、怖いし、疑わしく感じてしまいますよね。
でも、なぜ話題なのか、なぜその価格なのかは、効果が出るメカニズムや製造工程などを詳しく知ることで納得できるものです。
幹細胞コスメも同様に、効果なし?なんて聞いてしまうと疑問を持つ方がいらっしゃると思います。
ここでは、そもそも幹細胞とは?から始まり、どんな幹細胞コスメを選べばいいのかまで、幹細胞コスメについて一通りのことを、分かりやすく解説します。
目次
幹細胞って何?
そもそも幹細胞って、どんな細胞なのでしょうか?
幹細胞は、私たちがよく耳にする通常の「細胞分裂する細胞」とはちょっと違います。
幹細胞の、一つは「自己複製能」、そしてもう一つは「多分化能」という、この2つの能力を持つことが、生命体におけるとても重要な役割になるのです。
通常の細胞は分裂する際、自分と同じ細胞にしか分裂できません。
人の体は、ある一定の細胞が集まると組織になり、そうして出来た様々な組織がさらに複数集まり一定の機能を持つことで、血管になり皮膚になり、または臓器となって、形成されています。
しかし組織細胞の寿命は短いので、絶えず新しい細胞と入れ替える必要があります。
組織細胞が分裂を繰り返すなかで損傷したり死んだりすれば、修復したり補充したりする必要が出てきますが、通常の細胞には修復や補充はできません。
そこで、2つの能力を持つ幹細胞が重要になるのです。
幹細胞の「多分化能」は、分かりやすく説明すると、血が足りなければ補充するため血液細胞を、骨折すれば修復するため骨細胞をと、自分と違う細胞を生み出すことができるのです。
そして幹細胞の「自己複製能」は、細胞を補充する能力がある自分自身を複製することで、組織細胞を生み出す幹細胞をも補充します。
幹細胞は、生命体を維持する組織細胞と、新しい組織細胞を生み出せる自分と同じ細胞の、どちらも生み出せる重要な細胞なのです。
幹細胞と美容
私たちの体の中で重要な役割を果たす幹細胞ですが、その幹細胞がどのようにして美容に役立てられているのか、そのメカニズムを解説します。
幹細胞治療は再生医療
幹細胞は、自己修復機能を上手く利用した再生医療を可能にします。
幹細胞は普段活動しませんが、どこかの細胞が損傷したり古くなったりと、細胞の数が減少したことを感知すると、その箇所に集まり、分裂を始めます(ホーミング作用といいます)。
再生医療が適応すると言われている部位はとても範囲が広く、患者さん自身の脂肪細胞などを採取し培養、そして治療箇所に移植するという方法は、アレルギー反応もなく安全と言われています。
メリットだらけの治療法のようですが、デメリットもあります。
人によっては効果が出るまで時間がかかる、それでも効果が100%出るとは限らない、という個人差があります。
また、現段階では再生医療は自由診療のため、費用がかなり高額で負担が大きいということです。
このような幹細胞の自己修復機能で、シミやしわ、たるみなど肌の気になる問題を解決しようというのが、幹細胞治療によるアンチエイジングや、幹細胞コスメなのです。
美容における幹細胞の種類は3つ
幹細胞はその由来により、効果やメカニズムが違う場合があります。
ヒト由来
再生医療に使われる幹細胞は、人の初期胚から採取し培養するES細胞や、採取しやすい血液や皮膚から作られるiPS細胞などもありますが、美容においてよく使われるのは、人の皮下脂肪から採取するヒト由来の幹細胞です。
美容において幹細胞治療として行う場合は、術前に血液検査があり、培養後は細胞移植となりますので、厚生労働省から認可されているクリニックでなければ施術することはできません。
そして、ヒト幹細胞をコスメに利用する場合は、また別のメカニズムを利用します。
人の細胞の表面には、「レセプター」と呼ばれる鍵穴のようなものがあり、その鍵穴に合う鍵は成長因子「グロースファクター」として存在します。
グロースファクターは、ヒト幹細胞を培養する際に分泌される物質で、レセプターもグロースファクターも様々な種類があり、その鍵穴と鍵がピッタリ合うと、肌活性化のスイッチが入ります。
ヒト幹細胞がこのレセプターとグロースファクターのメカニズムを持つことが、幹細胞コスメで最も効果を期待される理由です。
植物由来
植物由来の幹細胞は、特に胚や根の先、茎の付け根などに多く含まれています。
しかし、ヒト幹細胞にある鍵と鍵穴のようなメカニズムを持たないため、効果が限定されると考えられていて、万人に効果があるとは言い切れない部分があります。
植物だけあって、さすがに保水力や抗酸化力が高く、ヒト由来や動物由来は強すぎるという敏感肌の方などは植物由来と相性がいい場合もあります。
動物由来
豚や馬・羊といった動物由来の幹細胞は、ヒト幹細胞と構造がよく似ています。
動物から細胞を採取する場合は胎盤が主で、効果としてはヒト幹細胞に近いものが期待できると言われていますが、人に使用した場合のアレルギーなどの副反応を完全には否定できないのが現状なので、国内ではまだ普及されていません。
幹細胞コスメを選ぶ際の注意点
「幹細胞コスメ」と聞くと、幹細胞が美容液等に添加されていると感じるのが一般的だと思いますが、実は、幹細胞は入っていません。
では、幹細胞コスメとは一体どのようなものを指すのか、選ぶ際の注意点などを解説します。
幹細胞コスメには幹細胞は入っていない
美容クリニックなどで行っている、実際に幹細胞を皮膚等に移植する幹細胞治療とは違い、化粧品などのコスメには、幹細胞は含まれていません。
ヒト由来の幹細胞を美容に利用する形は、上述したように、幹細胞治療と幹細胞コスメの2つの方法がありますが、取り扱いについて認可が必要な幹細胞を軽々しく化粧品等に配合してはいけないということが、薬事法によって定められています。
では、幹細胞コスメには一体、何が入っているのでしょうか?
幹細胞コスメに入っているのは、人の皮下脂肪から採取した幹細胞を培養した際に分泌される、様々な種類の成長因子(グロースファクター)を含んだ「ヒト幹細胞順化培養液」や「ヒト幹細胞上清液」という成分です。
ヒト由来なので「どんな人の細胞を使ってるの?」と心配になると思いますが、必ず毒性試験などを行い、問題なく健康と判断された方がドナーとなり、幹細胞を提供することになっています。
その上で培養を行い、その培養液から幹細胞を取り出し、滅菌等などの各種処理を施し、上澄みを配合します。
幹細胞コスメはこうやって効く
細胞は年齢を追うごとに、分裂が少なくなり、働き自体も鈍っていきます。
女性の肌の悩みである、シミ・しわ・たるみなども、細胞の老化が原因です。
幹細胞コスメは、レセプターにグロースファクターが合うこと、つまり、鍵穴に鍵が合い、スイッチが入って細胞が活性化することで、効果を発揮します。
不足したものを単純に補う対処療法のようなものではなく、細胞そのものを活性化することが期待できる幹細胞コスメは、年齢によって遅れがちになる肌のターンオーバーを整え、肌本来の力を引き出すことが期待されます。
肌の基礎力を底上げする幹細胞コスメは、再生医療を応用したアンチエイジングとのひとつといえるでしょう。
幹細胞コスメを選ぶ際はここを見る
幹細胞コスメを選ぶとき、様々な謳い文句を目にすると思います。
しかし「幹細胞コスメ」という名前から勘違いを招く恐れがあるように、その宣伝文句にも落とし穴があるので気を付けなければいけません。
- 「幹細胞が含まれている」という表記
- 「真皮まで届く」という説明
- 「ヒト幹細胞順化培養液」や「ヒト幹細胞上清液」との表記がない、ただの培養液
- 「培養液エキス」等と表記されていて培養液成分の濃度が不明
- 由来がヒト幹細胞ではない(敏感肌の場合を除く)
以上のような表記の場合は注意が必要です。
順化培養液や上清液の表記がない培養液は成分や濃度が不明であり、培養液エキスの場合はアルコールで希釈されています。
濃度が高い方が効果を期待できるので、高価になりますができるだけ原液か、原液に近い高濃度のものを選びましょう。
そして、あまり安価なものを選ぶと、安全性の確証のない動物由来のケースがありますし、敏感肌で植物由来を選ぶのでなければ、人の細胞を培養した幹細胞コスメなのか、由来をしっかりと確認しましょう。
まとめ
「幹細胞コスメは効果なし」と言われるのは「幹細胞そのものが含まれている割には」という認識が誤解を生んでいるからではないでしょうか?
実際、幹細胞コスメがどう肌にいいのか、どういうメカニズムなのかをちゃんと知ると、一度試してみても損はないコスメだということが、分かって頂けたかと思います。
幹細胞コスメに興味がある方は、幹細胞を取り扱うための認可がされているクリニックなどが開発した幹細胞コスメなど、きちんと効果を期待できる良品を選んだ上で、美しい肌を実現して頂きたいと思います。