幹細胞でアンチエイジングが叶う?間葉系幹細胞の効果と病気の予防について紹介
人間の体は20歳をピークとして徐々に加齢が進み、さまざまな不調が表れはじめます。それは美容面だけではなく、体にも症状として現れることから、アンチエイジング医療が注目されています。
アンチエイジングは美容に関することというイメージが強い方も多いのですが、美容面でシワやハリといった老化現象を改善させるだけではなく、健康的で若々しい体を保つことにも使用されます。
この記事では、アンチエイジングについて、幹細胞について、間葉系幹細胞のアンチエイジング効果について詳しくご紹介します。
アンチエイジングに興味があるという方、幹細胞治療をはじめたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アンチエイジングとは
いつまでも若々しい心と体を保ちたいという欲望は、誰にでも共通しているものです。アンチエイジングと一口に言っても、さまざまな医療が存在します。
まずは、アンチエイジングについて詳しくご紹介します。
抗加齢・抗老化
アンチエイジングは「アンチ=反対・抗体」と「エイジング=時間の経過や加齢」が合わさった言葉で、日本語にすると抗加齢、抗老化となります。
加齢とともに起こるとされるさまざまな体の機能の低下を防ぐことが、アンチエイジングだとされているのです。
若返り、不老不死などは人間の憧れであり、不可能なものだと考えられていましたが、1980年代頃から老化のプロセスが解明されはじめたことで、老化を遅らせるアンチエイジングという概念が生まれました。
現在の医学では、老化を止める、不老不死を実現するということは不可能とされていますが、少しでも老化現象を遅らせたり、軽減させたりすることがアンチエイジングの目的となっています。
美容分野でのアンチエイジング
美容分野でのアンチエイジングは、加齢によって生じるシミやたるみ、シワなどを改善させ、若々しい肌を保つことを指します。
このような症状は、肌そのものが老化しているということ以外にも、紫外線、ストレス、食生活、間違ったスキンケアなどによって誘発されます。
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が年齢とともに劣化し、減少することでシワやたるみが生じますが、それ以外にも紫外線やターンオーバーの乱れが原因でシミが肌に現れることも。
このような老化現象に対して、美容分野では化粧品やエステ、美容医療によってトラブルを予防、減少させることを目的としています。
医療分野でのアンチエイジング
健康や医療分野でのアンチエイジングは、加齢とともに発症リスクが高くなる生活習慣病への医療費や介護負担の増大といった課題を解決するためにも、健康に長寿を目指すアンチエイジング医学として2000年頃に提唱されるようになりました。
主に以下のような治療が行われます。
- 生活療法…栄養療法、運動療法、精神療法
- 薬物療法…ホルモン補充、免疫強化
- サプリメント…医師の指導のもと服用
- 特殊療法…皮膚科、形成外科、代替療法、キレーション療法
内科、外科、眼科、歯科、皮膚科、婦人科などさまざまな分野で従来行っていた「病気の治療に重点を置くこと」に対して、病気の原因を除去することや、予防医療として発症を防ぐことが重要視されています。
幹細胞とは
アンチエイジング治療に用いられる幹細胞とは、もともと人間の中に存在するもので、失われた細胞を再び生み出し補充する細胞のことです。
幹細胞には、ES細胞やiPS細胞のようにどんな細胞でもつくりだすことができる「多能性幹細胞」と、きまった組織や臓器で消えていく細胞のかわりをつくりつづける「組織幹細胞」に分けられます。
組織幹細胞はどの細胞にもなれるものではありませんが、骨髄や脂肪の中に存在する間葉系幹細胞は、筋肉や軟骨などに分化する能力をもっていることが明らかになっています。
そもそも骨髄内で発見されていた間葉系幹細胞ですが、皮下脂肪内にも多く存在し、比較的採取が簡単であることから、さまざまな治療に使用されはじめています。
間葉系幹細胞のアンチエイジング効果
間葉系幹細胞の治療は、幹細胞を脂肪から採取したあとに特殊な機械で培養し、その後また体内に戻すという治療方法で、点滴や注射を用いて行われます。
ここからは、間葉系幹細胞のアンチエイジング効果について詳しくご紹介します。
シワ
皮膚は表面から角質層、表皮、真皮、皮下組織で構成されています。その皮膚の大部分を占めるのが真皮で、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などが存在する部分です。
シワの原因はさまざまですが、大きな原因としてコラーゲンやエラスチンの減少、変性などが考えられます。紫外線によってこれらが壊されてしまうことや、加齢によって量が減少するとされているのです。
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生成するのに欠かせない細胞は線維芽細胞です。線維芽細胞がこれらを生み出し、肌の美しさを保っています。
幹細胞治療によって幹細胞を体内に戻すことで、加齢とともに減ってしまった線維芽細胞の幹細胞を補うことができ、結果的にコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生み出す根本的な治療が叶うのです。
たるみ
「ハリ」とも呼ばれる肌の弾力を保っているのは、コラーゲンやエラスチンです。前述したように、コラーゲンやエラスチンは紫外線や老化の影響で徐々に減少、変性していってしまいます。
弾力が失われターンオーバーが正常に行われなくなると、筋力が低下して皮下脂肪が厚くなり、重力の影響で皮膚が下に下がりやすくなります。
たるみ治療にはさまざまな治療が存在しますが、幹細胞注射や点滴は肌細胞に直接働きかける治療です。
線維芽細胞を増やし機能を回復させることで、徐々にコラーゲンやエラスチンが生成されるようになり、たるみの改善に効果を発揮します。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、症状がある方が全国で約1000万人、潜在的な方を含めると約3000万人の方が罹患していると考えられている病気です。
大腿部などの筋力の低下、膝の関節に過度の重みが加わる作業を繰り返している方に多く見られる疾患ですが、骨折や靭帯損傷、半月板損傷などの外傷の後遺症として発症することもあり得ます。
初期症状としては立ち上がったとき、歩行時などに痛みが生じ、少し休めば回復するといった程度ですが、症状が進行すると安静にしていても痛みが取れず、関節が変形して歩行が困難になることも。
軽症時は消炎鎮痛剤の内服や外用薬の治療、ヒアルロン酸の投与などが行われますが、重度の変形性膝関節症の治療には、関節鏡手術などが行われます。
しかし、手術をしたくないと考える方も多く、入院して全身麻酔をしたうえでリハビリをしていくような治療に前向きになれない方も少なくありません。
幹細胞治療では、ヒアルロン酸注射のように幹細胞を患部に注射するだけなので負担も少なく、海外のスポーツ選手なども取り入れている最先端の治療方法となります。
変形性股関節症
変形性股関節症は、鼠径部(脚の付け根部分)に関節の痛みや機能障害が生じる疾患です。
変形性膝関節症と同様に、初期は立ち上がりや歩き始めに鼠径部に痛みが生じる程度で、安静にすることで治まることがほとんどです。
しかし、病気が進行してしまうと、常に痛むようになったり、夜中寝ているときに痛むようになったりするなどの症状が出てしまいます。
従来の治療は痛み止めやリハビリ、筋力トレーニングをするなどの方法で対応しており、ヒアルロン酸注射も対応できないため治療が困難でした。
幹細胞を鼠径部に注射することで、すり減った軟骨をもう一度再生させることができ、痛みの軽減に大きな期待が持てるようになったのです。
肩腱板損傷
肩の腱板損傷とは、加齢や仕事での反復動作などが原因となって、肩の周囲の骨と腱板が擦れて損傷してしまう疾患です。
肩が急に痛くなったり、腕が上がらなくなったりするなどの症状がでますが、MRIの検査をしないと診断が難しく、治療は関節鏡による手術が一般的でした。
肩腱板損傷は放置することで徐々に進行し、完全に断裂してしまう恐れがありますが、手術のリスクを考えなかなか治療に踏み切れないという方も。
しかし、腱板に幹細胞を注射することで手術をしなくても腱板を再生することが可能となり、入院や手術、リハビリの必要もないためストレスなく治療を進めることができます。
まとめ
アンチエイジングについて、幹細胞について、間葉系幹細胞のアンチエイジング効果についてご紹介しましたが、参考になりましたか?
アンチエイジングは美容用語として聞いたことがあるという方も多く、皮膚のたるみやシミ、シワなどに効果を求める方も少なくありませんが、健康面でもアンチエイジング医療は重要視されています。
今回ご紹介したような疾患にかかる前に予防的な意味で幹細胞治療をしたいという方も多く、より健康で若々しくいるための治療として注目されているのが幹細胞治療です。
アンチエイジング医療に興味がある方、幹細胞治療を検討している方は、この記事を参考にしてみてください。