幹細胞エステやコスメの特徴とクリニックでの幹細胞治療との違いを紹介
美容目的で「アンチエイジング」という言葉が一般的に使用されるようになっており、再生医療の一環としてクリニックで幹細胞治療が行われるようになっています。
そんななか、幹細胞エステや幹細胞コスメといった美容方法がメディアやSNSで話題となっているため「クリニックで行う治療と何が違うの?」と疑問を持たれる方も少なくありません。
この記事では、幹細胞エステとコスメの特徴、クリニックで行われる幹細胞治療について詳しくご紹介します。
幹細胞治療に興味がある方、幹細胞エステや幹細胞コスメについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
幹細胞エステの特徴
幹細胞とは自分とは異なる細胞を生み出す「分化能」と、自分とまったく同じ能力をもった細胞に分裂することができる「自己複製能」をもった細胞のことで、人の体内や動物、植物にも存在するものです。
クリニックで行われている幹細胞治療は、再生医療としても注目されていますが、エステで行われている施術とどのような違いがあるのでしょうか?
まずは、幹細胞エステの特徴をご紹介します。
エステで使用されているものは「幹細胞培養液」
エステで使用されているものは幹細胞培養液といって、幹細胞そのものではなく、幹細胞を培養するときに分泌される培養液を使用しています。
動物や植物からも幹細胞培養液は抽出できますが、人間にはヒト幹細胞培養液が一番相性が良いとされており、サイトカイン(成長因子)が豊富に含まれているという特徴があります。
サイトカインの中には、表皮細胞や真皮細胞に働きかけてターンオーバーを促進させたり、線維芽細胞の働きを活発にさせたりするものがあります。
幹細胞そのものを使用するわけではないものの、継続して施術を受けることで自らコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの美容成分を作り出せる肌を目指すことができるかもしれません。
エステで行う幹細胞フェイシャルの費用相場
エステで行われる幹細胞フェイシャルの相場は、10,000~25,000円ほどとなります。施術時間や幹細胞培養液の濃度によっても料金は変わってきます。
幹細胞培養液の効果は1回で得られるというよりは、最初は2週間に1回ほどのペース、その後は月に1回ほどのペースで定期的にメンテナンスをする必要がある施術です。
そのため、5回コースや10回コースなどのコース料金を設定しているサロンも多く、高圧の空気を利用する高圧ジェットエアーや、微粒化して噴射するスプレーガン、電気パルスで一時的に皮膚に穴をあけるエレクトロポレーションなどを用いて施術が行われます。
幹細胞コスメの特徴
幹細胞エステとともに話題となっている幹細胞コスメは、自宅で幹細胞培養液を用いたケアができるとして人気のスキンケアやコスメです。
ここからは、幹細胞コスメの特徴をご紹介します。
幹細胞コスメで使用されるのは「幹細胞培養液」か「植物幹細胞培養液」
とくにエイジングケアに効果があるとされている幹細胞コスメは、ヒト幹細胞培養液か植物幹細胞培養液が配合されていることがほとんどです。
前述したように、ヒト幹細胞培養液はコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成を促す線維芽細胞を活発化させることができるため、幹細胞コスメの中でも人気の高い成分です。
植物性の幹細胞エキスは、アルガンやリンゴ、カミツレなどから抽出されるもので、人間に使用しても拒絶反応が起こりづらいとされています。
植物性の幹細胞エキスには、抗酸化物質が含まれていることも特徴ですが、実際のところどのような効果があるのか解明されていないことも事実です。
幹細胞コスメの費用相場
幹細胞コスメは、数千円ほどで購入できるものもあれば、数万円ほどの価格で販売されていることもあり、その価格はそのほかの配合成分や幹細胞エキスがどの程度配合されているかによって異なります。
幹細胞コスメを選ぶ際は、自分の肌に合った成分が配合されているのかということや、ヒト由来なのか、植物由来なのかということを確認するようにしましょう。
植物由来の幹細胞培養液に比べて、ヒト由来の幹細胞培養系はより高いアンチエイジング効果が期待できるとされています。
ヒト幹細胞培養液は、基本的に肌質を選ばず使用することができます。年齢による肌トラブルが気になるという方は、他にどのような美容成分が配合されているのかも重要となります。
クリニックでの幹細胞治療について
ここまで幹細胞エステや幹細胞コスメについてご紹介してきましたが、今話題の再生医療として治療を受けられるのは、クリニックで行われる幹細胞治療だけです。
ここからは、クリニックでの幹細胞治療について詳しくご紹介します。
自分の幹細胞を培養したものを再注入する
幹細胞にはES細胞やiPS細胞のように、どのような細胞にもなれる多能性幹細胞と、決まった細胞にしかなれない組織幹細胞があります。
ES細胞やiPS細胞は、まだまだ研究段階であり、ガン化してしまう恐れもあるなどの理由から治療として使用されていませんが、組織幹細胞の一つである間葉系幹細胞はさまざまな疾患や症状を改善させるとして医療現場で使用されています。
間葉系幹細胞は、組織幹細胞なのですべての細胞に変化できるわけではありませんが、一部の細胞に変化できるとして、治療に用いられています。
代表的なのは、腹部の脂肪から自分の幹細胞を採取し、培養、増殖したうえで再び点滴や注射によって体内に戻すという治療です。
自分の幹細胞を使用するため副作用のリスクはほぼなく、ES細胞やiPS細胞のようにガン化するリスクもないことから、クリニックでの治療に用いられています。
他の美容医療との違い
他の美容医療との違いは、直接細胞に働きかけることです。人工的に作られたヒアルロン酸やボトックスといった製剤は、仕上がりを自然に見せるために技術力が必要となります。
また、継続して施術を繰り返し行う必要があるため、何度もクリニックに足を運んで治療を受けることになります。
一方で、幹細胞治療は自分の細胞を使用するためすぐに効果が実感できるというよりは、ゆっくりと時間をかけて線維芽細胞の働きを活性化させていき、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成を行います。
そのため、自然なエイジングケアができ、じっくりと時間をかけてハリや弾力を取り戻すことができるのです。
効果が長続きする
幹細胞治療は、真皮の線維芽細胞に直接アプローチを行うため、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を補充するという治療とは違い、自分でそれらを生成する能力を高めることができます。
効果を実感するのは治療を行ってから数か月ほど時間が必要となりますが、その後は長期的な効果を感じられます。
しかし、細胞の老化を止めることができるわけではないため、再び細胞の老化が進むと肌悩みとしてエイジングサインが現れてきます。
効果の持続期間には個人差がありますが、本質的な原因にアプローチできる治療であるため、効果が長続きするという特徴があります。
アンチエイジングができる
アンチエイジングとは、抗加齢、抗老化といった意味があり、肌だけではなくいつまでも若々しい心と体を維持することです。
肌への効果はここまでお伝えしてきましたが、幹細胞治療は病気の治療や予防にも効果があるとされています。
たとえば、生活習慣病や肝障害、内臓疾患、更年期障害などの治療を行うことで、内側から若々しさを取り戻すことができます。
また、細胞が壊れてしまう前に予防することも可能で、幹細胞治療を行うことで病気の予備軍である傷んだ細胞を修復できることや、幹細胞の免疫機能によって感染予防をできることなどが特徴です。
クリニックでの幹細胞治療の費用相場
間葉系幹細胞の治療は自由診療となるため、治療にかかるすべての料金が自己負担となります。
その費用はクリニックによって異なり、数十万~一千万円ほどの費用がかかるとされています。
エステサロンでの施術に比べると料金は高くなりますが、自分の幹細胞を直接使用することや、効果が長続きするなどのメリットが多くあるため、さまざまな治療と比較して幹細胞治療を選ぶという方も多くいらっしゃいます。
まとめ
幹細胞エステとコスメの特徴、クリニックで行われる幹細胞治療についてご紹介しましたが、参考になりましたか?
幹細胞エステや幹細胞コスメに使用されている幹細胞とは、幹細胞そのものではなく幹細胞を培養した際に出る幹細胞培養液です。
幹細胞を直接使用するよりも効果は劣るものの、何度か施術を続ければ一定の効果は感じることができるかもしれません。
しかし、エステを行うサロンでは医師のカウンセリングを受けることができないため、肌悩みに合わせてさまざまな治療と比較することができる、クリニックでの治療をオススメします。
幹細胞治療を考えている方、エステでの幹細胞フェイシャルを検討しているという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。