エラスチンを多く含む食べ物とは?肌のハリを保つための効率的な食べ方のポイント解説
エラスチンとは、皮膚や内臓の弾力を保つためにはたらくタンパク質の一種です。肌のアンチエイジングには保湿成分のコラーゲンやヒアルロン酸が重要ですが、実はエラスチンの存在も欠かせません。
しかし、エラスチンは体内で生成することが難しく、いったん失われるとなかなか元の状態に戻らないリスクがあります。
そこで重要なのが、食品などからエラスチンの成分を補うことです。では、エラスチンとはどのような食品の中に多く含まれているのでしょうか。
この記事ではエラスチンを多く含む食品と、効率のよい摂取の方法について解説しています。食品からエイジングケアを行いたいと考えている方は参考にしてください。
目次
エラスチンは肌の重要な構成成分
エラスチンは、肌のハリや弾力を維持するために欠かせない成分です。タンパク質の一種で、伸び縮みする力が弱い代わりに、周辺の組織を支える力が強いという特性を持っています。
皮膚組織の中で、エラスチンはコラーゲンの束を結びつける結束バンドのような役割をはたしています。コラーゲン繊維とエラスチンが結合して網の目のような構造を作っており、この網目構造のことを「細胞外マトリックス」と呼びます。
細胞外マトリックスが正常な状態になっていると、皮膚を支えてくれるためふっくらとして艶のある肌を維持することができます。
つまり、エイジングケアを行ったり乾燥を防いだりするためには、保湿成分のコラーゲンだけでなくエラスチンも適度に補うことが重要です。
しかし、コラーゲンに比べてエラスチンの研究はあまり進んでいません。エラスチンは、水にまったく溶けず、加工が難しいため利用方法が少ないと考えられているからです。
また、皮膚組織の中で生成可能なコラーゲンに対し、エラスチンは体内での消費と再生産であるターンオーバーのサイクルが非常にゆっくりになっています。
つまり、一度破壊されたら簡単に再生することができません。
また、喫煙や紫外線の影響でエラスターゼという酵素が分泌されます。この酵素はエラスチンを分解する性質を持つため、体内のエラスチンの量が減る原因の一つとなっています。
このように、人の体内のエラスチンは、加齢や外部ストレスの影響によって徐々に減って行ってしまうことが避けられません。
つまり、失われたエラスチンを補うためには食品などから摂取しなくてはならないということです。しかし、どうすれば効率よくエラスチンを補給できるかははっきりとした方法が確立されていません。
そこで、エラスチンの性質を解説しながら、日常的に取り組める摂取のポイントについて解説しましょう。
エラスチンについては以下の記事でも解説しています。参考にしてください。
→エラスチンを増やす方法は?肌の弾力を取り戻すセルフケアや美容医療を紹介
→ほうれい線のリフトアップに効果的な施術とは?切開法やヒアルロン酸注射の留意点
エラスチンを多く含む食品とは
エラスチンには、動物に含まれるものや魚に含まれるものがありますが、野菜を中心とする植物からは摂取することができません。
植物の体はセルロースなどの炭水化物(糖質)を中心にできているため、エラスチンのような弾力のあるタンパク質があまり含まれていないからです。
動物の体の中では、じん帯や魚の心臓部分に多く含まれていることが分かっています。その他には、関節に存在する軟骨、皮などもエラスチンを豊富に含んでいることで知られています。
中でも、豚肉に含まれるエラスチンは、アミノ酸の構造が人に近く、皮膚組織などに馴染みやすいメリットがあります。
焼肉に利用されるハツ(心臓)や、もつ鍋の材料である白ホルモンなどはエラスチンの摂取に適した食材です。
とはいえ、ホルモンと呼ばれる内臓系の食肉はクセが強く、苦手な方も多いかもしれません。そこで、豚ホルモン以外で利用しやすい食材を3つ紹介します。
エラスチンを多く含む食べ物3つ
エラスチンが多くとれる食品について解説します。
- 牛すじ
- 鶏手羽先
- 魚の煮こごり
牛すじは、牛の横隔膜であるメンブレンや脚のじん帯などを食用に加工したものです。豚と同様にエラスチンを多く含み、ホルモンほどクセが強くないため、煮込み料理やおでんなどで手軽に摂取することが可能です。
鶏肉の手羽先は、関節と皮膚からエラスチンを摂取することができ、魚の煮凝りも同様に骨の軟骨やエンガワなど弾力成分が溶け出しているため、エラスチンの摂取に向いています。
加えて、これらの食品にはコラーゲンも多く含まれています。コラーゲンはエラスチンを生成する基地である線維芽細胞を活性化させるため、牛すじ、手羽先、魚の煮こごりは肌のハリを改善するための食品としてかなり効率がよいものとなっています。
エラスチン含有量の多い食品の食べ方
エラスチンを多く含む食品を食べるだけでなく、食べ合わせや時間帯を工夫することで効率よく皮膚にエラスチンを補充することが可能になります。
体内でエラスチンが合成されるためには銅イオンやタンパク質、ビタミンが欠かせないことと、就寝中にターンオーバーが活発になるタイミングに合わせて摂取することがポイントだからです。
そこで、エラスチンが生成される仕組みと、おすすめの食べ方について解説します。
エラスチンが作られる流れ
皮膚組織でエラスチンが生成される流れはまだよく分かっていませんが、おおまかな科学変化の流れは以下の通りだと考えられています。
- 線維芽細胞内でエラスチンのもとになるトロポエラスチンが生成される
- トロポエラスチンが体温の影響で凝集する
- リシルオキシダーゼという酵素がフィブリノゲンにエラスチンを定着させる
- 弾性線維であるエラスチンに変化する
トロポエラスチンからエラスチンへ変化する流れの中で、銅イオンビタミンK、ビタミンAなどの因子も必要になります。
リシルオキシダーゼ、ミクロフィブリル、フィブリン4などはアミノ酸由来の成分であり、銅イオンはこれらの複数のアミノ酸を活性化させ、結合しやすくするブースターの役割を担っているからです。
そこで、トロポエラスチンをエラスチンに変化させるためには、牛すじや手羽先以外にも、タンパク質やビタミン類を豊富に含む食品を積極的に食べることが重要になります。
エラスチンを含む食品は夕食で摂るのがおすすめ
エラスチンを含む食品は夕食でしっかり摂ることがおすすめです。深夜0時〜2時の時間帯は細胞のターンオーバーが活発になるため、この時間に食事から摂ったエラスチンが体の中に定着しやすくなると考えられているからです。
そこで、夕食にはコラーゲンとエラスチンを同時に含む食品をメインに、植物性タンパク質やビタミン類を多く含む野菜やナッツ類などをバランスよく組み合わせた食事をとるようにしましょう。
また、エラスチン成分を配合したサプリメントも販売されているため、食事からの摂取が難しい場合に利用するという方法もあります。さらに睡眠の質をよくするため、就寝の1時間前を目安に部屋を暗くしたりスマートフォンの使用を止めるなどの工夫をすることも重要です。
エラスチンを食事で摂取する注意点
エラスチンは非常に分子が大きく、水に溶けない性質を持っていることから食事で摂取しても体内でエラスチンに合成される率がかなり低いという考え方もあります。
エラスチンやコラーゲンを多く含む食品を意識して食べることは全く無意味とは言い切れません。しかし、エラスチン自体の研究がまだ進んでいないこともあって、実際はどのような方法で摂取することがエラスチン補充に効果的なのかは不明です。
そこで、美容クリニックなどで実践されている「PRP皮膚再生療法」もおすすめです。これは、エラスチンそのものではなく線維芽細胞を活性化させ、肌のハリを回復するという美容治療となっています。
また、エラスチンを純粋に生成したエラスチンペプチドという状態で摂取すると生物の体内でのエラスチン定着率が高くなるという実験結果もあります。
エラスチンペプチドを食品やサプリメントによって取り入れやすくする研究が、食品企業などで行われています。
牛すじや鶏手羽先ばかり食べていれば肌の状態が改善するというわけではありません。あくまで材料を補充する意味で食材を選ぶようにし、その他の栄養素と合わせてバランスよく食べることが重要です。
まとめ
エラスチンを多く含む食品や食べ方のコツについて解説しました。コラーゲンとともに含まれることが多く、皮膚組織内の細胞外マトリックスを作る成分が補給できるため、牛すじや手羽先などが効率のよい食材としておすすめです。
とはいえ、食品によってエラスチンを補充する方法自体はまだ確認されていないため、むやみに量を食べようとすることには注意が必要です。
それよりも、紫外線の影響でエラスチンが破壊されることを防いだり、バランスのよい日常生活を心がけることのほうが大切になります。
エラスチンを多く含有する食品を取りつつ、今あるエラスチンをこれ以上減らさないようにする工夫も行っていきましょう。