エラボトックスの効果が出るのはいつから?注射後の経過と持続期間について解説
エラボトックスとは、咬筋という顎の筋肉が異常に発達したことによって、顔の輪郭が大きく見えてしまう悩みに対処する美容治療です。
歯ぎしりや歯を噛みしめる癖がある方は、エラ張りといって顎の両端が横に張り出してしまいます。骨格や脂肪が原因の場合もありますが、筋肉の硬縮が原因であることもあります。
エラボトックスは、咬筋を弛緩させて歯を食いしばったり噛み締めたりしないようにし、エラを目立たなくさせることが目的です。
では、ボトックスの治療をおこなってから効果が出るのはいつからなのでしょうか。この記事では、エラボトックスの効果の現れる時期や効果のピーク、持続期間について解説しています。
治療を検討している方は参考にしてください。
目次
エラボトックスによって得られる効果
エラボトックスとは、ボトックスを利用した小顔治療のことです。輪郭を引き締める他にも、歯ぎしりや頭痛を改善する治療薬としても用いられています。
顎周辺が横に広がってエラが張って見えてしまう顔の輪郭には、いくつか原因があります。歯の噛み合わせが悪かったり、歯ぎしりをする癖があったりなどです。
生まれつき骨格の具合でエラ張りが見られる方には、切開手術で骨の形を変えるなどの手術が必要であり、ボトックスでは対処できない場合があります。
しかし、骨格に加えて筋肉の過剰な発達でエラが目立ってしまう症状なら、ボトックスを注射することである程度見た目の変化を得ることもできます。
したがって、エラボトックスは顎周辺が目立ってしまう輪郭に悩みを抱えている患者さんにおすすめな美容治療です。
ボトックスについては以下の記事でも解説しています。参考にしてください。
→エラボトックスのダウンタイムは短い!ダウンタイムの症状や過ごし方を解説
→おでこのシワにはボトックスが効果的?効果や失敗しないためのポイントも解説
→ボトックスを打ったら飲酒してはいけない?ボトックスの副作用を詳しく解説
エラボトックスの効果は翌日には出ない
エラボトックスは効果が出るまで時間がかかる治療方法です。注射を受けた翌日にエラ張りが改善するようなことはありません。
エラボトックス注射の主成分はボツリヌストキシンという細菌由来の毒素です。自然界に存在するボツリヌス菌が分泌するもので、ボトックスとは製剤の商標の名前です。
ボツリヌストキシンは、筋肉を緊張させる神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌を阻害することで発達しすぎた筋繊維を弛緩させます。
エラボトックスでエラ張りが改善する仕組みは、筋肉を緊張させる神経伝達物質の分泌を阻害し、過剰な緊張を抑えることで顎周辺の咬筋をダウンサイジングさせるものです。
一度発達した筋肉は急に収縮しません。また、ボトックス注射自体も体内に吸収されるまで時間がかかります。そのため、翌日には目立った変化が起こらないことが一般的です。
エラボトックスの効果が現れるのは約2週間後
エラボトックスを受けてから効果が実感できるようになるまでに必要な期間は、約数日〜1ヶ月と幅があります。
注射の成分が吸収されるまでに約3、4日かかり、神経伝達物質への阻害効果が現れるまでにさらに1週間程度かかります。
そこから筋肉が痩せて顎周辺がすっきりしていくのに1週間程度必要なことから、平均すると2週間ほどで顔が締まって見えるような効果が出てくると思っておけばいいでしょう。
エラボトックスの効き始めと経過について
タンパク質からできているボツリヌストキシンは非常に分子の大きな物質です。したがって、皮下注射した場合吸収されるまで時間がかかります。
エラボトックスを行ってから効果が出始めるまで、つまりボツリヌストキシンが十分に吸収されるまでの目安がおよそ3〜4日であることが分かっています。
吸収されたボツリヌストキシンは、時間が経つと徐々に分解されて効き目が無くなっていくため、エラボトックス注射の効果も徐々に薄くなってしまうことが特徴です。
エラボトックスの効果の持続期間
エラボトックスの効果がいつまで続くのかについては、個人差や症例による違いが大きくはっきりした期間はよく分かっていません。
先に説明したように、ボツリヌストキシン自体はタンパク質のため、皮下注射によってリンパ管から体内に吸収されると、やがて酵素の働きで分解され体外に排出されます。
永続的な効果を得られる治療法ではないということです。
3ヶ月〜半年程度で効果がなくなるという報告がある一方で、1年程度持続するという見解もあります。しかし、1年以上効果が維持できるというケースはごく稀です。
効果がなくなった後の反応の対処
エラボトックスはやがて効果が無くなってしまう治療法のため、エラ張りを根本的に治療できる方法ではありません。ただ、一度エラボトックスを行った後は筋肉が弛緩しやすくなるため、以前に比べるとエラ張りが目立ちにくくなる可能性はあります。
ボツリヌストキシンは、体に害のある成分ではありません。したがって、効果が切れた後に再び注射を受けることは可能です。
エラボトックスを再度受けることによって、エラ張りが改善される期間が長くなるというメリットもあり、小顔効果を得るために定期的な治療を継続する患者さんもいます。
ただ、ボトックスを注射し続けると、体内で抗体ができてしまうことが確認されています。抗体ができる確率はまだ研究途中ですが、少なくともすべての患者さんに抗体ができるわけではありません。
また、抗体ができた後ボトックスの効果がほとんどなくなってしまうケースはごくわずかです。とはいえ、注射を繰り返すことで効き目が弱くなるリスクについては注意すべきです。受診するクリニックの医師と相談して、回数や頻度を慎重に設定しましょう。
エラボトックスの効果のピークは
エラボトックスの効果がピークを迎える時期は、注射後から約2〜4週間の間です。この時期に吸収されたボツリヌストキシンの効き目がもっとも高くなり、咬筋を動かしたり緊張させたりする回数が減ることで筋肉が萎縮していきます。
エラボトックスのピーク時に現れる状態は以下の通りです
- 首と顎の境目が明確になる
- 顎周辺がすっきりして見える
- 顔が小さくなったように見える
また、患者さんによっては以下のような副作用が現れる場合もあります。
- ものが噛みづらくなる
- 頭痛がする
- アレルギー反応がでる
ボトックスによって咬筋が収縮してしまうため、顎が動かしづらくなって食事のとき困る経験をするという場合もあります。
また、ボトックス後の頭痛の原因は、咬筋が萎縮したことに対し他の場所の表情筋が動きを補おうと収縮してしまうためです。
筋肉どうしの間で力の入り方に差ができると、顔の周辺が高いストレスを感じている状態となって頭痛が起こります。
こうした状態は、製剤の効き目のピークが過ぎて効果が薄れていくことで徐々に改善します。しかし、ピークが過ぎると萎縮していた筋肉も再び硬縮しやすくなるため、再びエラが目立ってしまうリスクには注意が必要です。
エラボトックスをやめると元に戻る?
継続していたエラボトックス注射を中断すると、筋肉の緊張を妨げる要因がなくなりエラ張りが徐々に元に戻っていく可能性があります。
しかし、硬縮が再開する時期や度合いは患者さん一人ひとりが異なるため、中にはあまりエラ張りが再発しない場合もあります。
エラボトックスの効果が切れた後にもう一度注射を行うことは、先に説明したように問題ありません。
反対に、ボトックスを注射したことで顎の周辺が膨れたり腫れたりするケースもあります。これは、注射の後に患部を刺激してしまった、あるいは術後すぐに激しい運動や飲酒といった血流がよくなることをしてしまったためと考えられます。
注射の後に患部が腫れてしまっても、エラ張りが悪化したわけではありません。時間が経てば自然に症状が収まっていくため、異常が感じられたら数日間安静にして腫れた部分を刺激しないように注意しましょう。
まとめ
エラボトックスの治療のしくみと効果がいつから現れるのかについて解説しました。咬筋の発達が原因で起こるエラ張りの治療に有効ですが、即効性がないことと永続的な効果を得られないことに注意が必要です。
注射の効果が無くなった後にもう一度治療を受けることは可能であり、定期的なボトックスの継続でエラ張りが少しずつ改善していくケースもあります。
ボトックスそのものは皮下注射しても大きな害がなく、数回繰り返しても問題はありません。ただ、一部の患者さんにボトックスの抗体ができてしまう事例があったり、注射の後で頭痛や腫れなどの副作用が起こったりすることがあります。
副反応自体はダウンタイムを安静に過ごすことで解消できますが、不安な場合はクリニックで頭痛薬を出してもらうなど事前に相談しておきましょう。