ヒアルロン酸注射をやめたらどうなる?皮膚に起こる反応と打ち続けることのリスクについて
ヒアルロン酸を顔に注射することで、シワやほうれい線の解消につながったり鼻や唇の形を修正したりすることができます。
しかし、ヒアルロン酸自体は時間が経つと皮膚組織に吸収されていくため、徐々に注射の効果が薄れていってしまう点に注意が必要です。
そのため、ヒアルロン酸注射は定期的に繰り返す必要があり、一度打ち始めるとやめられなくなると心配する患者さんもいます。
では、継続していたヒアルロン酸注射を中断するとどのような反応が起こるのでしょうか。この記事では、ヒアルロン酸注射の効果とやめてしまうことによるリスクについて解説していきます。
また、ヒアルロン酸注射を続けることで後悔しやすい事例についても説明していますので、参考にしてください。
目次
ヒアルロン酸注射をやめたら起こる反応
ヒアルロン酸注射をやめた後には、注入していた箇所が徐々にボリュームダウンしていきます。ほうれい線を解消するために注射を行った場合、注射をしなくなれば頬の段差を埋めていたヒアルロン酸がなくなるため、またほうれい線が目立つようになるでしょう。
また、ヒアルロン酸がなくなりボリュームダウンしていくことで、頬や目元がこけたりくぼんだりするリスクもあります。つまり、注射をやめることで見た目が年齢よりも老けてしまうリスクがあるということです。
ボリュームダウンした箇所に適量のヒアルロン酸注射を再開すると、老け見えを解消することは可能です。
しかし、いずれその部分のヒアルロン酸が吸収されてしまうため、肌トラブルが再発する可能性はなくなりません。
ヒアルロン酸注射を行ってから効果がなくなるまでの期間
ヒアルロン酸注射を打った後、患部の皮膚組織に吸収されて効果がなくなるまでの期間はおよそ半年から1年です。
とはいえ、これはあくまで平均的な期間であって、必ず1年以内で効果が消えるというわけではありません。
どこにどの程度注射を行うかによって継続期間は変わりますし、使用するヒアルロン酸製剤の性質によっても持続期間が異なります。
ヒアルロン酸注射に使用される製剤には、目的に合わせて硬いものや柔らかいものが存在します。たとえば唇のように柔らかい場所には、ふっくらさせる効果の高い柔らかいヒアルロン酸を、鼻すじのように形をしっかり作りたい場所には硬めのヒアルロン酸を使うなどです。
一般的に柔らかいヒアルロン酸の方が硬いヒアルロン酸に比べて効果が消えるタイミングが早いとされます。
それ以外に、患者さんの肌質や顔の特徴に対して注射する量も変化します。つまり、多く注射すればそれだけ長持ちし、量が少なければやや早めに効果が消えると考えておけばいいでしょう。
ヒアルロン酸については以下の記事でも解説しています。参考にしてください。
→ほうれい線のリフトアップに効果的な施術とは?切開法やヒアルロン酸注射の留意点
→ヒアルロン酸注射は効果なし?治療部位ごとに効果が現れない原因を解説
→ヒアルロン酸注射の効果とは?施術を受ける前に知っておきたい注意点も紹介
ヒアルロン酸注射を継続することのリスク
ヒアルロン酸注射は、一度始めるといろいろなリスクがあるという考え方もあります。中でも重要視されているのが、注射を始めたらその後一生やめることができなくなるという問題です。
では、ヒアルロン酸注射がやめられなくなる理由とはなんなのでしょうか。注射を続けるリスクと合わせて解説します。
皮膚が伸びてシワができやすくなる
ヒアルロン酸は注入したあと時間の経過とともに皮膚組織の中に吸収されていきます。継続してヒアルロン酸注射を行っていた場合、効果を感じにくくなっていくため量を増やしてしまうこともありますが、ここに注意が必要です。
適量以上の注射を行った影響で皮膚が伸びてしまい、ヒアルロン酸が吸収された後で患部がシワになってしまうからです。
人の皮膚は、一度伸びてしまうともとに戻すことはかなり困難です。伸びてしまった箇所を切り取って、元通りの状態になるように手術で縫合するという対処法もありますが、顔にメスをいれなくてはならず不安を感じる方も多いでしょう。
したがって、注射を継続しつつ一回に注入する製剤の量を増やしていくことには慎重にならなくてはいけません。
一度打ち始めるとやめられなくなる理由
顔の一部分に注射を繰り返すとヒアルロン酸の効果が失われたときにいっきに老けて見えるリスクがあります。たとえば、ほうれい線解消や額のシワ改善などのために頬やおでこに注射を繰り返す場合などです。
見た目年齢が老けてしまうことを回避するために、同じ場所への注射を止めることができなくなってしまう患者さんもいます。
しかし、これはあくまでも同一箇所への注射だけを繰り返した場合の危険性です。経験豊富な医師なら、顔全体のバランスを見ながら必要な場所にヒアルロン酸を注入し、表情が不自然になることを防いでくれます。
ヒアルロン酸注射は、患者さんのその時その時の肌の悩みを解消するための治療法です。3~5回程度の注射で症状が緩和されれば、そこで治療をやめることに問題はありません。
つまり、ヒアルロン酸注射は必ずしも一生続けなくてはならない治療法ではありません。むしろ、重要なのは技術や経験を信頼できるクリニックで施術を受けるかどうかです。
ヒアルロン酸注射で後悔しやすい事例
ヒアルロン酸注射を行った結果、やめられなくなって後悔したという患者さんは少なくありません。
また、やめられなくなる原因として、ヒアルロン酸製剤の効果が消えてしまうことよりも、思ったような効果を得られず何度も治療をやり直してしまうケースもみられます。
そこで、ヒアルロン酸注射を行うときに起こりやすい失敗や、後悔してしまう事例について解説します。
精神的な依存状態が生まれる
ヒアルロン酸そのものには、依存性や中毒性はありません。ですが、一度ヒアルロン酸注射を行ってシワやほうれい線が改善した結果、効果がなくなることに不安や物足りなさを感じてしまう患者さんがいます。
ヒアルロン酸は効果が消えると、注射を打った箇所も元の状態に戻ってしまいます。そこで、肌を美しい状態に保ちたい、コンプレックスを解消したいという思いから、精神的に依存してしまうリスクが生まれることもあります。
ヒアルロン酸注射の費用は、治療する場所や製剤の種類、一回に使用する量によって異なります。しかし、実費負担で治療を受けなくてはならないため、繰り返し注射を打っていると費用負担はかなりのものになるでしょう。
金銭的に苦しいからやめたい、しかしやめることが心配でどうしても続けてしまうという状態になり、注射を始めたことを後悔することになってしまいます。
表情が不自然になってしまう
ヒアルロン酸注射を継続したことで、徐々に顔全体がアンバランスになり表情も不自然になってしまうことがあります。
原因として以下のようなことが考えられます。
- ヒアルロン酸注射を続けたことで皮膚が伸び、注射した箇所が垂れ下がるようになった
- 年齢を重ねたことによる肌質の変化とヒアルロン酸によって得られる治療効果がミスマッチしてしまう
- 低品質な製剤を注射してしまった
先に解説したように、ヒアルロン酸注射を続けていると徐々に皮膚が伸びて垂れ下がりやすくなるリスクがあります。
皮膚が伸びると、周辺の組織が薄くなり、皮下脂肪や新たに注入されたヒアルロン酸を支えきれなくなります。その結果頬や目元が垂れ下がっていき、実年齢よりも老けて見えるようになってしまいます。
また、若い頃に施術してもらっていたデザインのままでずっと注射を続けていると、年齢に対してミスマッチを起こすことがあります。
唇をふっくらさせるためにヒアルロン酸を注射していた場合、40代50代になった頃口元だけ若々しく見えてしまうかもしれないからです。
その他、費用を抑えるために低価格で品質の悪いヒアルロン酸を扱っているクリニックで治療を受けたり、市販のヒアルロン酸製剤を自分で注射してしまったりすると患部が腫れるなどの副作用が起こります。
このように、ヒアルロン酸注射を続けることで表情が不自然になってしまうリスクを考えた上で治療の継続について考えなくてはいけません。
まとめ
ヒアルロン酸注射をやめてしまうことでおこるリスクや、ヒアルロン酸注射を続けることのデメリットについて解説しました。
ヒアルロン酸注射は半永久的な効果を得られる美容治療ではなく、場所による違いがあってもいずれは皮膚に吸収されて効果が消えてしまいます。
そのため、継続して治療を続けなくてはいけないのですが、ヒアルロン酸を過剰に打ち続けたために皮膚にシワができたり、顔が不自然になったりなどのリスクについて考えておかなくてはいけません。
また、費用を抑えるために低価格なヒアルロン酸製剤を使用したことによる肌トラブルも報告されています。
治療を継続するためには、医師の経験や技術力を信頼できるクリニックを選び、自分の希望をしっかり聞き取りしてくれるかどうか確認することが重要です。