マッサージピールは自分でできる?自宅で行う場合のリスクとクリニックを利用すべき理由を解説
マッサージピールを自宅で行うことにはメリットが多いという考え方があります。まず、クリニックを利用するよりも費用が安くすみ、時間も5〜10分程度と短時間で終わるため魅力に感じる方が多いようです。
しかし、美容クリニックに勤務する医師を中心に、セルフマッサージピールの危険性が指摘されています。
薬品の取り扱いが難しく、効果を実感できないリスクがあるため、自宅でセルフケアに用いるには適切ではないという意見です。
では、自分で行うセルフマッサージピールは本当に可能なのでしょうか?この記事では、自分でマッサージピールを行う場合の危険性について説明しています。
目次
マッサージピールに使われる薬剤の特徴
マッサージピールには、「PRX-T33」という美容薬剤が使用されます。主な成分はトリクロロ酢酸、過酸化水素、コウジ酸です。
それぞれの効能は以下の通りです。
- トリクロロ酢酸…線維芽細胞を刺激しコラーゲン生成を促す
- 過酸化水素…トリクロロ酸の強い刺激を和らげつつ、コラーゲン生成を促す
- コウジ酸…メラニン生成を抑えて体内の糖化を抑制する
高濃度のトリクロロ酢酸にはタンパク質と結びつき、皮膚の奥へと浸透してコラーゲンを破壊することで、線維芽細胞を刺激する働きがあります。
同時に腐食性といって、皮膚に触れると火傷のような症状を起こす性質があり、劇物に指定されている扱いにくい薬品です。
PRX-T33は、低濃度の過酸化水素を混ぜることによってトリクロロ酢酸の強い角質剥離作用を和らげ、ピーリング剤として使用可能にした比較的新しい薬剤です。
とはいえ、過酸化水素自体も非常に不安定な物質であり、保管や輸送には温度管理など慎重な対応が必要になります。したがって、きちんとした設備のある施設でなければ基本的に保管、利用することが難しくなっています。
マッサージピールについては以下の記事でも解説しています。参考にしてください。
→ケミカルピーリングの効果は?クリニックで施術できる4つの種類を徹底解説
→【ケミカルピーリング】一回の効果は?4種類のピーリングを徹底比較
→ニキビ跡は症状によって治し方が違う!ニキビ跡の種類や原因を詳しく解説!
セルフマッサージピールの注意点3つ
マッサージピールは基本的に個人が自宅で行うことはできません。ウェブ上には、セルフマッサージピールを行っていて、やり方を説明している個人のサイトもあります。
しかし、マッサージピールは医療行為のため、医学的知識のない方がセルフケアとして行うものには向いていません。
自宅で行うマッサージピールを避けた方がいい理由について観ていきましょう。
効果を実感しにくい
マッサージピールに必要なPRX-T33は、医師や看護師など医療の国家資格を持っている方にしか取り扱いできないと薬事法で規定されています。
これは営利目的で他者に対して用いる場合の禁止事項であり、個人的に購入して自分のために使うことはできます。
しかし、マッサージピールは患者さんの肌の状態に合わせて塗布する量を判断するなど、医療の専門知識を必要とする治療方法です。
したがって、セルフでマッサージピールを行っても適切な方法ではない場合が多く、コラーゲン生成や肌質の改善といった効果を実感できないケースが多いのが現状です。
セルフケアとして自宅でPRX-T33を使っている方は、クリニックでの治療を経験してから独自に薬剤を購入している場合が多く、いわば見様見真似でピーリングをしている状態です。
効果を保証するものではなく、あくまで個人的な感想に基づいた情報のため、自分にも同様の結果が現れると判断するのは危険です。
正規品ではない薬剤を使用する危険がある
PRX-T33はイタリアのWiQo社が製造して販売しているものです。日本国内に同様の医療効果をもたらす薬品はないため、美容クリニックではWiQo社から正規に輸入を代行している業者から購入したものが用いられています。
しかし、一部では個人輸入によって購入した製品を販売していたり、フリマサイトを通じて非正規品が安価に提供される場合があります。
個人輸入した医薬品を販売することは薬事法違反のため注意しなくてはいけません。また、輸送中の温度管理などが徹底していたかなど確かめることができず、成分が変性している可能性もあります。
肌に深刻なダメージを負ってしまうリスクを否定しきれないことから、個人輸入や定価よりもあまりにも安価な製品は絶対に購入しないようにしましょう。
副反応に対するケアが難しい
PRX-T33は医薬品のため、副作用のリスクは0ではありません。患者さんの肌の状態によっては強い痛みが出たり、患部が赤く腫れてしまうこともあります。
セルフマッサージピールを行った場合、副作用がでても自己責任で対処する必要があります。皮膚科を受診する場合、どのような薬剤を皮膚に塗ったのかを医師に説明できるよう、製品のパッケージやメーカーの製造番号がわかるものを持っていくといいでしょう。
しかし、正規品ではない薬品を購入してしまった場合や、パッケージだけが本物で中身が違う薬品という場合には、皮膚科医の診断が難しくなります。
先の見出しで説明したように、セルフケアには必ず正規輸入業者を利用することが重要です。
もし個人業者から購入してしまった場合は、パッチテストのように肌に付けても異常がないかできるだけ確認することが重要です。
自宅ではなくクリニックでマッサージピールを受けるメリット
美容クリニックでマッサージピールを受けると、1回の治療で10,000円から20,000円が実費負担になります。
効果を実感するためには、平均して5〜10回受診することが望ましいですが、費用負担が大きいことがデメリットです。
しかし、クリニックだからこそ受けられるメリットも多くあります。そこで、セルフではなくクリニックでマッサージピールを受けるメリットを3つ解説します。
正しい方法で治療を受けられる
マッサージピールは、患者さんの肌の悩みと症状に合わせて薬剤の量を調節したり、肌に浸透させるためにマッサージの圧を加減する必要があります。
セルフケアで行う場合、自分で力加減を調節したり自分の肌がどのような状態になっているかを的確に判断することはかなり難しくなります。
美容クリニックのスタッフは、スキンケアや美容医療のプロフェッショナルです。安全で的確なマッサージを行う技術をしっかりと身につけています。
そのため、セルフマッサージピールと比較して同じ回数の治療効果がまったく異なることが最大のメリットです。
ピーリングの最適な回数と頻度を提案
マッサージピールの効果を実感できるようになるまで、最低でも5回かかり、1回の治療の後で2〜3週間程度開けてから再度受診する必要があります。
これはあくまでも平均的な回数であり、5回、あるいは10回行えば必ず肌の悩みが改善していると思ってはいけません。
クリニックなら受診のたびに肌のコンディションを診断してもらえるため、次回の治療はいつがいいか、あと何回治療を行うか最適なスケジュールを組んでもらえます。
薬品の安全性を信頼できる
美容クリニックでは必ず正規品のPRX-T33を使用している他、温度管理もしっかりしていることがメリットです。
医薬品専用冷蔵庫で未開封の薬剤を保管し、安定した温度管理を可能にしています。
しかし、家庭でマッサージピールを行う場合、一度開封した薬品をうっかり冷蔵庫で放置してしまうリスクがあります。
時間がたった薬品をもう一度使うことには様々なリスクがありますが、クリニックでは複数の患者さんに対して順次治療を行うため、薬が放置されて古くなる心配がありません。
自宅で行うのはマッサージピールのアフターケア
クリニックでマッサージピールを受けた後、自宅でしっかりとしたアフターケアを行うことは推奨されています。
クリニックによっては、治療メニューのなかにオプションで独自開発したスキンケアグッズを組み込んでいる場合もあり、そういったアイテムは積極的に利用するのがおすすめです。
逆に、自宅でのアフターケアを怠るとマッサージピールの効果が現れにくくなったり、紫外線の影響で色素沈着を起こしたりなどのデメリットが生じます。
マッサージピールはプロの手による治療にまかせ、自宅では肌を守るためのケアをしっかり行うことが理想的なプロセスです。
まとめ
セルフマッサージピールについて解説しました。マッサージピール自体は自宅で行っても問題ありませんが、完全な自己責任であり肌にトラブルが起こった場合の対処が大変なことが大きなデメリットです。
使用する薬剤も、医療の知識の無い方が扱うことは難しく、個人で購入する場合も正規品でないものを買ってしまう危険性があります。
クリニックで治療を受けた場合には、専門知識を持つ医師や看護師の手で正確なケアを受けることができ、薬品にたいする信頼度も高いため安心です。特に、初めてマッサージピールを試してみる方は必ずクリニックを受診するようにしてください。